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渡邊 立子; 横谷 明徳; 藤井 健太郎; 斎藤 公明
International Journal of Radiation Biology, 80(11-12), p.823 - 832, 2004/11
被引用回数:15 パーセンタイル:68.2(Biology)軟X線領域には、DNAを構成する元素,炭素,窒素,炭素及びリンのK殻の吸収端が含まれる。このためDNAを軟X線照射した場合に放出される二次電子のエネルギースペクトルは、吸収端の上下で大きく異なる。特に、DNA構成元素から放出される二次電子は飛程が短いため、DNAに与える損傷の生成効率は、二次電子のスペクトルに敏感に左右されるはずである。本研究では、K殻吸収端を挟む上下のエネルギーの単色X線を選んでDNAを照射した場合の二次電子のエネルギースペクトル,エネルギー付与分布,DNA鎖切断の生成効率との関係を、光吸収過程のモデル化及び二次電子の飛跡をシミュレーションすることにより解析した。この結果、K殻吸収が起こるとリンの場合は鎖切断効率が増加するが、他の元素の場合には収率が減少するなど、吸収端上下での大きなスペクトル変化がDNA鎖切断の生成効率に影響することを予測することができた。
川面 澄*; 高広 克巳*; 今井 誠*; 左高 正雄; 小牧 研一郎*; 柴田 裕実*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 205, p.528 - 532, 2003/05
被引用回数:4 パーセンタイル:33.69(Instruments & Instrumentation)東海研タンデム加速器を利用し高エネルギー領域における0度電子分光法により、ヘリウム原子との衝突による、酸素多価イオン(電荷3から5)からの放出電子スペクトルを測定し、オージェ電子とコスタークロニッヒ電子を同定した。低エネルギー領域においては励起状態は電子捕獲によって励起が起こりやすいが、高エネルギー領域では高励起状態は電子励起で起こりやすい。われわれは低エネルギー衝突による励起と比較し、オージェ電子スペクトルは低エネルギー衝突の場合とは異なっている。コスタークロニッヒ電子スペクトルでも低エネルギーの場合とは異なり、高エネルギー領域では励起状態は比較的低角運動量状態にあることを見いだした。
左高 正雄; 今井 誠*; 川面 澄*; 小牧 研一郎*; 俵 博之*; Vasilyev, A.*; Safronova, U. I.*
Physical Review A, 65(5), p.052704_1 - 052704_11, 2002/05
被引用回数:13 パーセンタイル:52.44(Optics)タンデム加速器から得られたSイオンをHeガス及び炭素薄膜を通過させることにより励起し、放出される電子のスペクトルを測定した。その結果をZ展開法とハートリーフォック法による計算結果と比較した。スペクトルは2s-2p遷移に基づくリドベルグ状態からのコスタークロニッヒ電子から成ることがわかった。この実験と理論の比較において固体通過後のイオンの電荷分布によるS,S,Sイオンからの電子放出強度を考慮する必要がある。この比較を利用して固体通過中のイオンの電荷分布の推定が可能であることがわかった。
左高 正雄; 今井 誠*; 川面 澄*; 小牧 研一郎*; 俵 博之*; Vasilyev, A.*; Safronova, U. I.*
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 35(2), p.267 - 281, 2002/01
被引用回数:3 パーセンタイル:19.73(Optics)タンデム加速器から得られるSiイオンを炭素薄膜で励起し多価Siイオンの高励起状態を作った。そこから放出される電子スペクトルを解析した。またZ-展開法(MZコード)とハートリーフォック法(Cowan-コード)の2つの理論計算を行った。実験と理論を比較することにより、2s-2p遷移の関与する多くのエネルギ準位と遷移確率,電子放出率を決定するとともに多価Siイオンの配置間相互作用を決定した。